物流コラム① 大手食品メーカーの挑戦に学ぶ:鉄道輸送が拓く持続可能な物流の未来
鉄道輸送は環境負荷の軽減や長距離輸送の効率性という点で注目を集めています。
しかしながら、実際の利用シェアを見ると課題も浮かび上がります。
目次
- 1.近年における鉄道輸送のシェア率
- 2.トラック輸送が強い理由:コストと利便性
- 3.大手食品メーカーの挑戦:鉄道輸送へのシフト
- 4.鉄道輸送の利点
- 4-1. ドライバー負担の軽減と環境貢献
- 4-2. 大量輸送と時間の正確性
- 5.京都通運の例に見る、2024年問題を契機とした鉄道輸送シフトと支援策
- 6.鉄道輸送の課題と今後の展望
- 7.持続可能な物流のための選択
- 8.まとめ
1. 近年における鉄道輸送のシェア率
2022年度のデータでは、輸送距離が 201~400km の区間で鉄道のシェアは 2%(331万トン) にとどまりました。一方、 1,001km以上 の区間ではシェアが 51%(798万トン) に増加しています。
このことから、鉄道輸送は 長距離輸送 に強みを発揮している一方で、 中短距離 ではトラック輸送が依然として優勢である現状が浮き彫りになっています。
2. トラック輸送が強い理由:コストと利便性
- コスト面
鉄道コンテナ輸送と比較して、トラック輸送の料金は低いため、企業にとって魅力的な選択肢となっています。 - 柔軟性
トラックは、時間指定や早朝配送、資材の引取りなどの カスタマイズ性 に優れています。 - 配送拠点の制約
鉄道では配送先が駅から遠い場合、追加のトラック輸送が必要となり、結果的にコストと利便性が悪化します。
3. 大手食品メーカーの挑戦:鉄道輸送へのシフト
即席飲料や菓子類を扱う外資系大手食品メーカーは、毎日 40コンテナ(約200トン) をトラック輸送から鉄道輸送へ切り替えました。この決断には以下の背景が考えられます。
- 2024年問題 に備えた物流の安定化
- 環境問題への配慮と企業の社会的責任(CSR)
同社の取り組みは、 JR貨物 や通運会社と協力して進められ、業界全体に示唆を与える事例となっています。
4. 鉄道輸送の利点
4-1. ドライバー負担の軽減と環境貢献
- ドライバー負担軽減
2024年問題により、トラックドライバーの労働環境改善が求められています。鉄道輸送へのシフトにより、移動距離や時間の削減が可能です。 - 環境負荷の軽減
鉄道輸送は、CO2排出量がトラック輸送よりも大幅に少なく、企業の環境目標達成に貢献します。
4-2. 大量輸送と時間の正確性
- 大量輸送能力
26両編成の貨物列車は、 トラック65台分 に相当する荷物を運べます。 - 時間の正確性
鉄道輸送は交通渋滞や天候の影響を受けにくく、サプライチェーンの効率化に寄与します。
5. 京都通運の例に見る、2024年問題を契機とした鉄道輸送シフトと支援策
- 実例:専用コンテナの開発
ある企業は専用コンテナを作成し、安定した配送を実現しました。 - 政府支援
政府はモーダルシフトを推進し、計画段階で 最大500万円 、実行段階で 最大1,000万円 の補助を提供。自動化機器の導入に対しては、さらに高い補助率が適用されます。
6. 鉄道輸送の課題と今後の展望
- 課題
- 鉄道駅が限られているため、 トラックとの併用 が必要。
- 輸送スケジュールが固定され、柔軟性に欠ける。
- インフラ整備や効率改善が必要。
- 展望
- 需要の拡大に伴うインフラ投資が進む可能性。
- 政府や業界全体の協力が重要。
7. 持続可能な物流のための選択
鉄道輸送を選択する企業が増えることは、物流業界全体に ポジティブな変化 をもたらします。コストだけでなく、環境問題や労働力不足といった課題に対応するためには、 長期的な視点 が求められます。
8. まとめ
鉄道輸送は、環境負荷の軽減やドライバー負担の軽減という点で 大きな可能性 を秘めています。しかし、コストや利便性の面ではトラック輸送が優位に立つ現状があります。
大手食品メーカーのような先進的な取り組みは、業界全体の 変革の触媒 となるでしょう。企業や物流業者の意識改革を進めることで、 持続可能な物流の未来 が切り拓かれることを期待します。